2005年12月11日
7つの習慣
1.講師紹介
1997年 早稲田大学商学部卒。同年株式会社ベンチャー・リンクに入社し、
コンサルタントとして、「牛角」などのフランチャイズ事業の立ち上げに関わる。
2003年に「7つの習慣」と出会い、日本の子どもたちに伝えたいという想いを元に、
翌年ベンチャー・リンクの子会社として、株式会社FCエデュケーションを設立。
同時に代表取締役に就任。以降、日本の小中高生に「生きるチカラ・学ぶチカラ」を身に付けさせる
「リーダーシップ開発講座 7つの習慣J」というプログラムを学習塾や学校とともに事業展開している。
2.ベンチャーリンク(以下VL)とは
フランチャイズ本部に対するコンサルティング及び業務代行。
フランチャイズ加盟店に対するスーパーバイジング及び新規事業情報提供を行う会社である。
3.VL流スーパーバイジング
店舗経営支援。
利益を出すためには社員よりもアルバイトを増やしたほうが効率が良い。
そこで、アルバイトを社会に貢献できる人材にするための人材育成輩出機関となった。
そして、人生に勝利するための「自分の人生を自分で切り拓く力」を育成している。
その根底の考えには「脱・サラリーマン精神、そこに企業家精神はあるのか?」
「成果は出るものではなく、出すものである」といったものがある。
4.VLと「7つの習慣」の出会い
人材育成の手段を探す過程として、3日間のある公開研修に参加する。
そこで小学校の教諭である渡邊先生と出会う。渡邊先生はその研修内容を小学生に教えているという。
そして、その授業を見学し、衝撃を受けた。小学生がその内容を理解し、実行しているのである。
では、そのことを他の人にも理解させることも可能ではないだろうか。
そして、始まったのがFCエデュケーケションであり、その研修内容こそが「7つの習慣」であった。
5.「7つの習慣」とは
世界で一番売れていると言われるビジネス書「7つの習慣」が元になっている。
スティーブン・コヴィー博士が米国建国200周年に向けて、
過去の書籍において成功するために必要と書かれていた事項を
研究し、整理・体系化してまとめあげた「7つの原則」について書かれている。
その書籍は世界では1500万部、日本でも100万部を超えるベストセラーになり、
研修プログラムは様々な大企業が取り入れている。
6.「7つの習慣」
第1の習慣 主体性を発揮する
第2の習慣 目的を持って始める
第3の習慣 重要事項を優先する
第4の習慣 Win-Winを考える
第5の習慣 理解してから理解される
第6の習慣 相乗効果を発揮する
第7の習慣 刃を研ぐ
以上の7つである。これだけみると「普段言われていることじゃないか?」「こんな簡単なことできている。」
と思われるかもしれないが、書いてあることはもっと深い内容である。
また、多くの人ができていないからこそ、取り入れられるのである。
7.成長とは
成長は以下の3段階に分かれる。
ⅰ.依存状態:望む結果を得るのに他人の努力を要する。
ⅱ.自立状態:自分の努力により望む結果を得ることができる。
ⅲ.相互依存:自分の努力と他人の努力を合わせて最大の成果を生み出している。
そして、その状態の変遷を「7つの習慣」に当てはめると以下のようになる。

依存状態から「1.主体性を発揮する」「2目的を持って始める」ことによって私的成功を収め、
「3.重要事項を優先する」ようになって、自立状態に移る。同様に相互依存状態に。
そして「7.刃を研ぐ」によって状態を回りさらに高めていく。
8.「7つの習慣」に入る前に
「7つの習慣」に入る前に「原則」と「パラダイム」の説明をする。
ⅰ)成功に「俺流」はない
仕事や家庭、人生そのものの成功には「原則」がある。
ⅱ)人は皆「偏見」を持っている
人はモノを見る時に、過去の経験に大きく影響される。それがパラダイムである。
ⅰ.原則:自然の法則や基礎的な心理を示す。
万国共通、不変であり、私たちの影響外にある。そして、私たちが理解しなくても、
受け入れなくても「必ず作用」する。
ⅱ.パラダイム:人が周りの世界を認識し、理解し、解釈する方法。
経験によって形作られたレンズ。私たちの「行動」の根源になっている。
人によって違い、一度持つと簡単には変えられないが、変えようと思えば変えられる。
9.第1の習慣 主体性を発揮する
主体的な人の特徴として以下があげられる。
ⅰ.自分の価値観に基づき反応を選択する。
ⅱ.自分の行動に対する責任をとる。
ⅲ.影響の輪に集中する。
そもそも主体性とは何であろうか。そしてその反対とは。
主体性とは「どのような状況に置かれても、自分の価値観に基づき反応を選択すること。」
である。
そして、その反対とは反応性と考えられる。
反応性とは「状況によっておき感情や気分で、反応性を決めること。」である。
では反応性をやめ、主体性になるにはどうしたらよいだろうか。
反応性と主体性を刺激に対しての推移で考えると以下の様になる。
反応性:刺激→反応
主体性:刺激→ →反応
と主体性を持った人には刺激から反応までに「価値観に沿った反応を選択する間」がある。
故に、主体性に持つには刺激から反応までの「間」を意識すると良い。
そして、これが「ⅰ.自分の価値観に基づき反応を選択する。」につながる。
では、「ⅱ.自分の行動に対する責任をとる。」とはどういうことであろうか。
3つの決定論というものがある。
「1.遺伝子学的決定論」「2.心理学的決定論」「3.環境論的決定論」の3つである。
これらによって決定される。しかしながら、決定されているのは「過去」のことであり、
「未来」のことである「反応」は全て自分で決定することができる。
故に、自分で選択する以上その責を負う必要がある。
物事を捉えるときに「影響の輪の中」⊂「関心の輪の中」⊂「関心の輪の外」に分けることができる。
「関心の輪の中」のことを考えることはできる。
しかしながら「関心」を持てるだけで今の自分ではそれに対し何もすることができない。
だからこそ、自分が影響することのできる「影響の輪の中」に集中し、
その輪を広げていくことが大切である。
10.第2の習慣 目的を持って始める
全てのモノは2度作られる。
第一の創造は知的創造、知的な思い、望む結果についての計画。である。
第二の創造は物的創造、望む結果を実際に作り出すこと。
知的創造は物的創造に先立ち、知的創造の「質」が物的創造の「質」を決める。
故に最初から、物的創造の最後たる目的を意識して始めることが大切である。
11.第3の習慣 重要事項を優先する
時間管理のマトリクスと言うものがある。それは以下のような図である。

そして、ここで優先すべきであると言っているのは「Ⅱ.準備、計画」である。
(なぜ、Ⅰ.でないかというとⅠ.は言わなくてもやるからである。)
12.第4の習慣 Win-Winを考える
自分と相手の結果を以下の4つに分類できる。
ⅰ.Win-Lose:自分は勝って相手は負けるというパラダイム
ⅱ.Lose-Win:自分は負けてもいいから、相手を勝たせるパラダイム
ⅲ.Lose-Lose:相手を負かすためなら、自分も負けてもかまわないというパラダイム
ⅳ.Win-Win:自分も相手も勝つというパラダイム
では、この4つのうちどれを選択するのがよいのだろうか。
答えは「状況によって違う」。
そして、大切なことは最終的に「Win-Win」になることである。
Win-Winとなるために必要なのは以下の2つである。
・自分のWinを主張する「勇気」を持つこと
・相手のWinを喜ぶ「思いやり」を持つこと
そして、そのためには信頼が必要である。
信頼とはその人の人格と能力に依存し、その2つは互いに補完しあわない。
13.第5の習慣 理解してから理解される
相手を理解するには相手の話を聞く必要がある。
そのレベルとして以下の段階に分けられる。
1.無視する
2.聞く振りをする
3.選択的に聞く
4.注意して聞く
5.感情移入の傾聴
1~4においては自分の見地で、5においては相手の見地で聞いている。
そして、この5つの段階においてどれが一番信頼を得られるかと言えば、もちろん、5.である。
そして、話を聞くだけではなく、反応する必要もある。
そして、反応には自叙伝的な反応というのがある。
これは以下の4つに分けられる。
1.助言:アドバイスや問題の解決策をだす。
2.探り:自分の見地に立って、あるいは自分の立場を踏まえて、質問する。
3.解釈:自分の経験に基づいて相手の行動や気持ちを説明しようとする。相手を分析しようとする。
4.評価:賛成するか、不賛成するか。相手を裁くこと。
これらの反応をした場合、効果的な場合と、効果的でない場合がある。
効果的な場合は、
・相手が理路整然としていて、感情的でない場合
・相手がアドバイスや助言を求めている場合
・相手が自分を信頼している場合
である。
そして、効果的でない場合は
・相手がただ聞くことだけを自分に求めている場合
・相手が感情的になっている場合
・相手が自分を信頼していない場合
である。
故に、相手の見地に立って聞き、相手の状態を判断し、反応を返すことが求められる。
14.第6の習慣 相乗効果を発揮する
「結果=自分の力=相手の力」ではだめである。
求めるのは「結果=自分の力+相手の力」でもない。
真に求めるべきは「結果=自分の力×相手の力」なのである。
そのためには自分と相手の相違点を知る必要があり、その関係は以下の段階に分けられる。
1.相違点を耐える。
2.相違点を受け入れ、認める。
3.相違点に価値を置き、尊ぶ。
4.相違点を歓迎し、祝う。
そして、この段階は下に行くほどよいものであり、目指すべきは相手との相違点を歓迎し祝う段階である。
15.第7の習慣 刃を研ぐ
目標を達成するために努力するだけではよくない。
目標を達成するための能力を身につける努力もすべきである。
そして、それはバランスことが大切である。
16.最後に
前から知りたかったと思うかもしれない。しかし、ここでパラダイムを変えるべきなのである。
確かに過去は今から前のことである。
しかしながら、今もまた、未来から見れば過去であり、前のことなのである。
では、最後に問いを
成功との反対とは?
それは何もしないことである。
失敗とは所詮成功というベクトルを邪魔する壁でしかない。
そして、もっとも大切なことは
「7つ瞬間」にせず、「7つの習慣」にすることである。
感想
今回の講演はダイジェスト版ではあったが、とてもためになった。
昔から、何気なく言われてきたことが実は考えつめると、
こんなにも深いものであり、価値ある物であったのかと衝撃を受けた。
まるで、奇術を見せられたかのようであり、そして、同時にその種も教えてもらった。
これから先の人生に影響を及ぼすことは間違いと確信するともに
実際の書籍も読んで知らなければと思う。
鈴木社長、こんなにすばらしいこと教えてくださり、ありがとうございました。
また、スタッフの皆さん、お手伝いしてくださった方、ご来場の方々、ありがとうございました。
議事録:
早稲田大学理工学部 櫻井宏樹