2007年3月14日
コミュニケーション戦略
話し方
①
「話す」という行為は、他人との関係において、はじめて成立します。言い換えれば、「コミュニケーションのための媒体」と言う概念です。
そうしたとき、3つの問題が出てきます。
自分だけの都合ではなく、相手の立場・気持ちも理解した言動
1)自分の意思を相手に理解・納得してもらうための工夫
2)自分の気持ちをうまく正確に相手に伝える工夫
そのための「心がけ」と「技術」が求められてきます。
つまり、話し方は、技術に加え「頭脳」と「ハート」がポイントになります。
②
話し上手は、「相手の立場」「気持ち」にたった「理解と思いやり」につきます。
例えば、
1)相手のこと無視した自分中心の会話
2)くどくどと長すぎる話
3)聞きづらい耳障りな話し方
4)内容がなく抽象的な話
よって、「快適でわかりやすい」-それこそが、大切なポイントです。
①
(1)話し方のテクニック
あ)上手な発声
1声の大きさ、2声の高さ、3とおりのよさ、4言葉の明瞭さ
あ)1てんぽ・間、2抑揚・強弱、3話の時間を短く、センテンスを短く
い)1丁寧・丁重に話す、2聞き上手になる
う)双方の仁尊信への配慮・情報交易の精神
(2)発声のポイント・・声の大きさ
あ)大きな声なら、より大勢の人に楽に聞いてもらえる。
い)説得や自分の意見を主張するには声は大きいほうがよい
う)声を大きく出すと発声が明瞭になり聞き取りやすい。
大きな声は、「自身の象徴」とも言われます。相手への説得や交渉に際して、自信がないと感じられれば、それだけでマイナス・ポイントです。
よく、「名経営者は、概して声が大きい」といわれます。社業の実績に自信があるから大きくなることもあります。また逆に、意図的に大きな声で話すことにより、自分自身が元気付けられ、社員へのインパクトを強める効果もあります。
言葉を話す目的がコミュニケーションである以上、聞き取りやすいことは不可欠な条件です。周知のように、日本語に必ず絡むのは、「ア・イ・ウ・エ・オ」の母音です。これらの音は口を大きく立や横に開けることで発音できます。大きく口を開ければ、当然にして声も大きくなるはずなのです。
大切なスピーチの前に、よく言う「アイエウエオアオ」の発声練習をしておくことも、以外に大切なことです。特に朝は、どんな人でも声の出が悪いです。
あ)話す前には、人のいないところで母音の発声練習をしておく。
い)スピーチの前に、意図的に雑談などをして、声を出す練習の場を意識的に持つようにする。
スポーツ選手は、試合の前にはランニングやキャッチボールなどをして体を温めたりしておきます。準備が大切なのは、話し方でも同じです。
(3)発声のポイント・・・声の高さ・とおり
聞き手を「力でねじ伏せよう」と言う姿勢のときに、声は高くなります。低い声で話すのは、相手を威圧するのではなく、じっくりと話し込んで納得させるときによく使われます。仕事での報告やアドバイスなどの「上司と部下の行った位置の面談」。複雑な説明を要する込み入った商談。こうしたケースなどでは、声は低くなり、話す速度もゆっくり目のほうがいいです。時間をかける代わりに、聞き手に対して安心と信頼感を与えるのが低い声での話し方の特徴です。
声の通りは、小さな心がけで出来ます。口だけでもごもごと話すのではなく、のどと腹を使うことです。「腹から声を出せ」とよく言われます。それは、空気が還流し、のどを共鳴させてはりのある声を作るからです。
(4)発声のポイント・・・声のよさ
よい声とは、発音が明瞭で、ふくらみがあり、はきはきとしており、上品で聞きやすい声―前の二つは発声法と姿勢が決めてです。後の二つは、話しての「人間性」が大きく影響しています。
あ)発声が明瞭でー口を大きく開けてはっきり話す(=几帳面さ、自信)
い)ふくらみがありー方の力を抜き背筋をまっすぐにして話す。(=姿勢を正しく)
う)ハキハキとー元気よく(=元気さと誠実さ)
え)上品で聞きやすいー落ち着きと伝えようとする気持ち(=人柄と相手への思いやり)
(5)発声のポイント・・・声のよさ
あ)姿勢―肩の力を抜き、背筋を伸ばした楽な姿勢で、首とあごの角度を直角にして、まっすぐ前を向く。
い)呼吸―腹式呼吸(横隔膜を上下させる)をする。
声帯のあたりののどを無理に緊張させない。(多くの空気を楽に出し入れでき、発生のための呼気を静かに丁寧にすることができる。)
う)発音―声そのものではなく、声帯の振動によって作られた声を、いろいろな調音気官の働きで、響きや音色を与え、一つ一つの音を作る。
え)共鳴ー豊かで響きを伴った美しい発声は、聞き手に快い印象を与える。のどの辺りを締めない。のどや鼻孔を共鳴させすぎない。身体全体を共鳴箱として響かせる。
(6)はなし方のテンポと間
話し方にテンポと間を持ち込むことにより、会話は心地よくスムースになるはずです。
音楽や小説でも、全編が一本調子の連続では、聞き手や読み手は飽きてしまいます。ゆったりと流れる部分と、畳み掛けるように激しい部分がうまくミックスされて深みが生まれてくるように、話す場合にも、テンポのメリハリをつけることが必要です。
あ)スローテンポー聞き手の情緒や情感に訴える場合(頼みごとなど)
い)アップテンポー情報伝達(短時間に多くの情報を盛り込む)
まどろっこしいと感じる速さは、文章にして一分間にほぼ250字以内といわれています情報伝達を目的とするニュースおアナウンサーは、一分間に350~400字程度の練習してみれば、自分なりの適切な速さがわかります。
(7)話の時間を短く
あ)人間が相手の話を集中して聞ける限度は、たったの45秒だそうです。
文章を書くときでも、20字詰めの原稿用紙で、どんなに長くても「8行~10行に一度は行変えをせよ」と言われます。10行では、200字。人間がゆっくり話せば、一分間に250字分ほどになることを考えれば、やはり45秒前後に一度、節目をつける必要があります。
テレビCMが30秒を基本としているのは、視聴者が集中して聞いてもらえる時間を意識しています。会合などでよく行われる「一分間スピーチ」も同じ発想のものです。
一対一の会話のときも同じです。一分間程度の話をしたら、そこで相手に、「なあ、ここまでの話は判るだろう」「君は、どの様に思うか?」と言った言葉を挟み、いったん話を切り、言葉のキャッチボールをやってみるのも良い方法です。
つまり、「言葉」は聞き手に伝わってこそ、はじめて完結するのです。自分が話したいからといって、相手の立場や状況を考えず延々と話すことの愚挙は、避けるべきです。
そうした話は、聞き手と同時に話し手にとっても、まさに「時間の無駄」以外の何者でもないことをくれぐれも忘れてはいけません。
例えば、次の自己紹介を参考にしてください。時間はおよそ20~30秒ほどです。
私は、法政大学経済学部経済学科政策情報コースに通う山田哲郎と申しまして、大学では経営研究会のサークルをしており、出身は神奈川県で横浜の奥地でのんびり暮らし、趣味は囲碁と盆栽なので、よろしくお願いします。
一度に余り多く、そして違った種類の情報がインプットされるため、聞き終えたときには、山田さんの大学、サークル、出身、趣味と言った多くの要素のいくつかは、意識から消えてしまいます。こうしたときは、一つ一つのセンテンスを短くして、その幾度、聞き手の頭に吸収してもらうようテクニックが必要です。
短いセンテンスで分けてみると。
私は、法政大学経済学部経済学科政策情報コースに通う山田哲郎と申します。大学では経営研究会のサークルをしています。出身は神奈川県で横浜の奥地でのんびり暮らしています。趣味は囲碁と盆栽なので、(少しの間をおいてから)よろしくお願いします。
人間の頭は、長年の習性から「一つのセンテンス単位」で情報を理解しようとする構造になっています。文章を書く際も、極力、短文主体の構成が望ましいです。頒布して読み直せる文章とは違い、その場限りで消えてしまう言葉での情報伝達では、なお一層、短文主体の話の組み立てが大切になってきます。