2006年6月15日
ベンチャーキャピタルの実務とベンチャービジネスの今後
●ベンチャーキャピタリストになるまでの過程
慶応大学ではシェークスピアの演劇に打ち込みすぎにより留年をしてしまったが、それをきっかけに真剣に経済について勉強し、資本論など書籍を読み漁る。ゼミの先生からインターンを紹介してもらい、JAFCOに入り、そのまま入社をする。しかし、JAFCOは未公開会社に投資(未公開予備軍)をしているが、公開をしてもおかしくない会社、野村證券系列なので野村證券に伺いながら投資をする。しかし、本質はHUMAN UNDERSTANDIGが重要だと思い、独自の手法で投資先を育成し、見つけてきた。社会人としては失格だが、投資先の会社の朝礼に一緒に参加をして企業体質や経営者の本質を見抜き、徐々に成績を上げて上場した会社が多くなった。最後にはスタープレイヤーとなり、JAFCOでお手本となるような人材へとなり、役員候補となった。しかし、個人に投資する会社でないと日本のベンチャーキャピタルは育たないと思い、退職をする。、村口氏の目指すところは創業ベンチャー発掘である。
●ベンチャーキャピタリストになるポテンシャル
実際に投資家になるためには投資家に聞くのが一番と思い、シリコンバレーに行ってベンチャーキャピタリストと会う。そこで重要な事は2点指導を受けた。まず第1に、early bird(早耳)、第2にHUMAN UNDERSTANDING。つまり、情報通でなければならない。
●ベンチャーキャピタリストから見るインド市場
インドは人口が10億いる。中国は一人っ子政策により逆三角形の構造になっているが、インドは異なるので、今後人口が一番多くなるのはインドだと予測される。主要都市のカルカッタは3000万人いるが、8割低所得者で貧困層ある。
●シリコンバレーの実態
シリコンバレーで有名なGOOGLEは景気がいいとされているが、社歴は約10年しか経っていない。シリコンバレーは一番進み、日本では到底打ち勝てないと言うイメージがあるが、そのイメージは実際の数値を実際に見ると異なるケースが非常に多い。
シリコンバレーは1999年~2000は確かにすごかったが、現在は違う。
また、海外によく私は行くが、それは海外に渡り歩く事によって、イメージを明確化することが出来るから。皆さんも実際に自分の目で見る事を意識してください。ロールモデル(注釈:他の人間、または集団の人々に見習われ模倣される行為の人 cohen)を見つけ、具体的に何をすべきか捉えてください。
●日本はベンチャーに向いていないのか?
日本はベンチャーがでない。上場社長は50歳以上じゃないと難しい。日本は農耕民族であるからだめだ。「日本人は創業に向いた人はいない」というイメージがあるが、実際は違う・・・・。日本人は非常に起業をするのにやりやすい土壌がある。理由はコミュニケーション、相互信頼が強い国である。例えば、日本人は相互に信頼をするが、アメリカは信頼と言うものが無く、そのため細かい資料を50P以上作らなければならない。また、日本は投資に向いていないと言うイメージがあるが、日本の方が博打に対してすごい。パチンコ、銀行が宝くじをやるなどアメリカなどでは考えられない話である。アメリカはカジノ等ラスベガスがあるではないかと言われるが、それはごく一部の人が行っているだけ。
●ベンチャーキャピタルの投資先となる会社
ベンチャーキャピタルの投資先は紹介先が多い。投資先の審査は、経営者がやる気が有って根性があるか。寝ないでも頑張っていけるタイプ。また、景気に左右されずに独自の技術を持っている理科系が中心。投資先はスタートアップから投資をするので財務の数字は当てにならない。悪まで人物本位。
その一方でやる気があっても根性がある経営者ではあるが、投資先にならないタイプは、嘘をつくタイプ。間違った事を繰り返してしまうタイプ。柔軟じゃないタイプ。
●人脈と信用を勝ち取るには?
人脈・信用はもともと有るもの、与えられるものではなく、自分で会って作っていくものである。
例えば、お客先に何度もノーと言われたが、諦めかけて帰る途中に台所で料理を作っている奥さんに呼ばれて、「あんたの預金を借りるでー」と言ってくれた。ノーと言われ続けたが、実を言うとテストをされていた。
これからは人と人との付き合い。投資をする基本だが、明確な意思がないと危ない。成功しようと思わない場合は成功しない。打ち合わせをしていくうちに投資が出来ないとわかる。
●新しい事をやる重要性
ゼロからはじめる事が重要。社会的に需要がある。変化が激しい場合は、新しい事をやらなければならない。また、新しい事をやった場合は莫大な利益を得られる。既存のビジネスだけやっていた場合、最大手のNTTでさえ未来が無くなる。つまり、新しい事をやる事はリスクがあるように思えるが、何もしない方がリスクとなる。
●ベンチャーキャピタルの回収期間
投資事業組合は10年で解散となっているので、5年~7年で回収する事もあり、長期的な視点で投資をする。
文責:総責任者 相模女子大学 三浦 麻美
副責任者:経営研究会 齊藤 丈真
■講師:村口和孝氏
(日本テクノロジーベンチャーパートナーズ代表)
慶応大学卒。学生時代に当時はまだ職業として認知されていなかった、ベンチャーキャピタルの存在を知り、わざわざアメリカ訪問、つたない英語
でベンチャーキャピタリストたちにインタビューをしてまわる。その後、日本で立ち上がったばかりのJAFCOに入社。「常識破りの」数々のベンチャーを公開させる。日本で初めて、福祉ベンチャー目をつけ、公開させ周囲を驚かせた。まさに日本産業をつくってきた立役者。